最近、ノートパソコンのバッテリーの減りが早くなりました。それではバッテリーの劣化か、バッテリーの寿命が来たのかと困っていますよね。そこでここで、ノートパソコンバッテリー劣化の原因&判断方法、バッテリーにとって負担の少ない使用方法や、少しでも長く快適に使う長持ちコツなどについて解説します。

目次

1.ノートパソコンのバッテリーの種類

2.バッテリーの寿命とは?

2-1.平均的な寿命はどれくらい
2-2.寿命が来たというのはどんな状態
2-3.ノートパソコンのバッテリーを長持ちするには、正しく使用しよう


3.バッテリーを長持ちさせる方法

3-1.充電と放電をしっかり分ける
3-2.バッテリーに負担のない充電をする
3-3.長期保管するなら電池残量50%が理想
3-4.熱に注意する
3-5.モニターの輝度を下げる
3-6.使用していないソフトは閉じる
3-7.無線LANやBluetooth、GPSを使わなければ切る
3-8.こまめにスリープ状態にする
3-9.バッテリー節約機能を使う
3-10.ノートパソコンのバッテリーリフレッシュをする

ノートパソコンのバッテリーを交換する

4-1.ノートパソコンのバッテリーの交換種類
4-2.ノートパソコンのバッテリー交換前の準備

環境にやさしい使用がバッテリーの寿命を延ばす

1.ノートパソコンのバッテリーの種類

パソコン用のバッテリーには2種類あります。まずは、「リチウムイオンバッテリー」です。リチウムイオンバッテリーには「Li-ion」と表記されているのが特徴となっています。軽くて利便性が高いため、多くのノートパソコンが採用しているバッテリーです。2つ目は「ニッケル水素バッテリー」で、バッテリーには「Ni-MH」と表記されています。

ニッケル水素バッテリーは従来のバッテリーよりも有害性が低く、容量も大きいのです。また、コストも安いため、広く普及しました。しかし、リチウムイオンバッテリーの普及により、使われている数は減少しています。コストが安いので、低価格ノートパソコンに使われている場合があるでしょう。

2.バッテリーの寿命とは

ノートパソコンのバッテリーの寿命は平均するとどのくらいなのでしょうか。使い方でどれほど差が出るのか、どのような状態になれば寿命なのか分からない人も多いでしょう。この段落では、バッテリーの寿命に関する疑問について解説していきます。

2-1.平均的な寿命はどれくらい

ノートパソコンのバッテリーはそもそも消耗品ですが、バッテリーの寿命を意識していない人も多いです。一般的には、充電できる回数がある程度決まっており、約500回充電できるとされています。このことから、一般的な平均寿命は2年程度だといわれているのです。しかし、2年はあくまでも目安です。使い方によっては1年もしないうちにノートパソコンバッテリーの減りは激早くて使えなくなることもありますし、5年以上問題なく使えるケースもあります。でも、どんな状態でノートパソコンバッテリーの寿命がきたと表示されますか。次で詳しく説明していきます。

2-2.寿命が来たというのはどんな状態

ノートパソコンのバッテリーの寿命が近いかどうか、どのように判断したらいいのか。大手メーカー製のノートパソコンの場合、バッテリーの状態をチェックするソフトウェアがあります。それをプリインストールすると、ノートパソコンのバッテリー寿命が来たのか一目瞭然です。例えば、NECのノートPCには、バッテリの状態を確認できる「バッテリ・リフレッシュ&診断ツール」があります。このツールを利用すると、バッテリーの状況を定期的にチェックできます。

ノートパソコンのバッテリー状況をチェック 提供元:jpn.nec.com

ソフトがない場合、バッテリーの駆動時間や充電時間で判断するしかありません。基本的には、初期容量の50%ほどに劣化したら寿命が近いと考えていいでしょう。たとえば、買ったばかりのパソコンは4時間使ってもバッテリーの電池容量半分くらい残っていますが、今1時間だけでバッテリーの減りが凄く早くなっていました。またはいくら充電してもなかなかバッテリーが100%になりません。このような場合には、バッテリーの劣化と考えられます。

寿命の近い劣化したバッテリーを使い続けてしまうと、パソコンにダメージを与えてしまったりデータが消失してしまったりと、何らかの障害が起こる危険性もあります。また、長く使い続けることでバッテリーの在庫がなくなる可能性もあります。パソコンやバッテリーは常に新しいものが出ているので、時間が経つと家電量販店やメーカーで旧モデルのバッテリーの在庫がなくなり、新品が手に入らないケースも珍しくありません。そのため、ノートパソコンのバッテリーを正しく使用したり、できるだけ早めに交換しておいたりしてください。

2-3.ノートパソコンのバッテリーを長持ちするには、正しく使用しよう

ノートパソコンのバッテリーを劣化しやすくなく、できる限り寿命を長持ちしたい場合、バッテリーを正しく使用してください。ここで、ノートパソコンのバッテリーを正確に使用するには、いくつかの注意点を紹介していきます。

  • ノートパソコンをできるだけ高温の場所に放置しない

  • 長い間でパソコンを使用しない場合、バッテリ残量を50%の程度に放置する

  • ノートパソコンのバッテリを外した状態でAC電源のみで使用しない

  • ノートパソコンのバッテリーは過充電されない

  • ノートパソコンを充電しっぱなしにしない

  • ノートパソコンを完全に放電しない

  • ノートパソコンを充電しながら使わない

3.バッテリーを長持ちさせる方法

バッテリーは消耗品ですが、交換するとなると1~3万円の費用がかかってしまいます。そのため、できるだけ長持ちさせたいものですよね。ここでは、バッテリーを長持ちさせるためのコツを9つ紹介します。

3-1.充電と放電をしっかり分ける

まずは、充電と放電をしっかりと分けることを意識しましょう。バッテリーが電池をため込むことを充電、電池を使うことを放電といいます。この両方を同時に行わないことが重要です。充電されたバッテリーをつけ、さらに電源ケーブルをつないでパソコンを使用してしまうと、充電と放電を一緒に行うことになり、著しくバッテリーを消耗させます。

長時間使う場合には、ついついバッテリーを装着したまま電源ケーブルをつけてしまうことも多いのですが、劣化を早めることになるので平均寿命よりも短い期間で寿命を迎えやすくなるでしょう。

電源ケーブルをつけながらパソコンを使用するのなら、バッテリーを取り外して使用します。面倒くさがらずに、きちんとバッテリーを外すことがポイントです。充電はパソコンを使っていないときに行って、充電と放電のメリハリをつけるようにすることで、バッテリーを長持ちさせることができます。

3-2.バッテリーに負担のない充電をする

バッテリーの種類によって、負担の少ない充電方法は違います。まず、リチウムイオンバッテリーの場合は、使い切ったりフル充電したりするのはよくありません。0%から100%へのフル充電を繰り返していると、バッテリーの劣化を早めてしまうので注意しましょう。

電池残量が30%を切ったら充電をして、100%になる前、充電量が80%程度になったら充電をやめるのがポイントです。ニッケル水素バッテリーは、リチウムイオンバッテリーとは逆で、電池残量を使い切ってから充電をして、100%になるまで充電をしても問題はありません。

ニッケル水素バッテリーの場合には、電池を使い切ってから充電することが推奨されているので、0%まで使い切ることを意識しましょう。電池残量が50%からの満充電を繰り返していると、50%を0%と認識してしまいそこまでしか電池を使わなくなる「メモリ効果」が発生してしまうのです。これを防ぐため、1カ月に一度は0%まで使い切るようにしましょう。

3-3.長期保管するなら電池残量50%が理想

長期保管する場合には、フル充電しないようにすることもポイントです。ノートパソコンのバッテリーは経年劣化するため、使わなくても保管しているだけで劣化が進みます。このとき、フル充電状態だとバッテリーの自然劣化を早めてしまうのです。電化製品を購入したときにフル充電されていないのもこのためです。

しかし、反対に0%の状態だと「過放電」という現象を起こす可能性があるので気をつけましょう。過放電は、激しい劣化や故障の原因になるので、まったく充電せずに長期保管するのもやめたほうが安心です。

そのため、長期保管するのなら50%程度の充電を保ってパソコンから外し、涼しい場所に保管するのがバッテリーにとって最も優しい方法です。

3-4.熱に注意する

熱はバッテリー劣化を早める原因なので、くれぐれも直射日光が当たるような場所や温度が高くなるような場所に置いてはいけません。風通しがよく涼しい場所を選びましょう。ノートパソコンバッテリーの寿命を延ばすためにはバッテリーの取り扱いも重要ですが、日々のパソコン使用において消費電力を抑えることも重要です。バッテリーの消耗を少なくすることが寿命を延ばすことにもつながるので、意識してみるといいでしょう。

3-5.モニターの輝度を下げる

あまり意識していない人も多いでしょうが、モニターの電力消費は非常に大きいものです。明るくしているほど電力を多く消費してしまうので、操作に支障のないギリギリまで画面の輝度を下げることで消費を抑えることができます。モニターの明るさの調整は、パソコン本体とOS機能のどちらでもできる機種もあれば、OS機能だけしかないパソコンもあります。

本体からモニターの明るさを調整する場合には、キーボードにあるお日様のようなマークを操作して行います。どのメーカーのパソコンでも同じようなマークのキーがあるため分かりやすいでしょう。

パソコン本体から調整できない機種の場合には、OS機能から調整します。Windows 10の場合には、次の手順へ:

ステップ1:スタートボタンから「設定」から「システム」に入ります。

モニターの輝度を下げてバッテリーを長持ち

ステップ2:そこで、「ディスプレイ」と選んでください。ディスプレイの調整画面の「明るさの変更」から輝度を調整していきましょう。

3-6.使用していないソフトは閉じる

不要なソフトを閉じることも大切です。ノートパソコンはCPUを酷使すればするほど、バッテリーの消耗が激しくなります。そのため、バッテリーを使っている場合には、実際には使用していないバックグラウンドで起動しているプログラムをすべて閉じることで、バッテリー消費を抑えることができるでしょう。また、余計なソフトを多く開いてCPUを酷使することで熱が発生してしまうこともあります。バッテリーにとって熱は大敵ですので、負荷を軽くするよう心がけます。

バックグラウンドで起動しているプログラムの確認方法は、Windows 10の場合、下部のタスクバー上で右クリックしてタスクマネージャーを選びます。その後、タスクマネージャーのページで「スタートアップ」をクリックすると、起動するプログラムの一覧が出てくるので、ここから確認しましょう。この中から不要なプログラムで「有効」となっているもの探してクリックし、「無効」に変更することで余計なプログラムを閉じることができます。

3-7.無線LANやBluetooth、GPSを使わなければ切る

Wi-FiやBluetoothなどに接続し続けることも、非常にわずかではありますがノートパソコンバッテリーの電力消費につながります。そのため、オフラインでの作業が可能なときにはWi-Fiを切断する、Bluetooth、GPS、ワイヤレスマウスなどを使う必要がないときにはこまめに接続を切ることで、負担が軽くなるでしょう。わずかですが省電力につながって、バッテリーへの充電回数を減らすことができます。機内モードをオンにすることで、無線LANやBluetoothなどとの通信ができなくなるので、Wi-Fiなどをまとめて切断したい場合には利用してみましょう。

3-8.こまめにスリープ状態にする

さまざまな事情から、作業を中断しなければいけないときもあります。そのようなときに、ノートパソコンの電源をつけっぱなしにしたりシャットダウンしたりせずに、こまめにスリープ状態にするといいでしょう。シャットダウンしてしまうと、パソコンを起動する際にシステムの稼働や常駐アプリケーションの作動によって、一気にバッテリーを食ってしまいます。スリープならこれらの動作を最小限に抑えることが可能なので、少しの間作業を中断する場合には、スリープ機能を活用するとバッテリーへの負担を軽くできるのです。

3-9.ノートパソコンバッテリー節約機能を使う

Windows 10であれば、自分で1つずつ設定しなくても「バッテリー節約機能」を使って一気に節約モードにすることが可能です。いちいち設定するのが面倒だという場合には便利です。この機能は、バッテリー残量が一定未満になったときに自動でオンになりますが、手動でオンにすることもできます。手動でオンにする場合には、タスクバーの右端にある「アクションセンターアイコン」をクリックして、アクションセンターを開きます。

バッテリー節約機能という項目があるので、そこをクリックしましょう。画面の下部に各機能が表示されていない場合には、左下のほうにある「展開」を押すと表示されます。また、このバッテリー節約機能は電源ケーブルを接続しているときには使えません。

3-10.ノートパソコンのバッテリーリフレッシュをする

ノートパソコンバッテリーの減りが劇早い場合には、バッテリーをリフレッシュすることで状態を改善できる可能性が高いです。劣化が進んでいてそろそろ買い替えとなる前に、一度バッテリーリフレッシュを実施してみるといいでしょう。詳しい手順は以下の通りです。

ステップ1:パソコンをシャットダウンさせます。

ステップ2:バッテリーを装着した状態のままACアダプタを外しましょう。

ステップ3:BIOSを起動させます。BIOSとはWindowsよりも前の段階で作動する基本ソフトのことです。起動方法はマザーボードの機種などによって異なりますが、「起動後にメーカーロゴが表示されたらF2を連打」することで起動するケースが多いようです。

ステップ4:BIOSを起動させた状態のまま放置し、バッテリーの充電が0%になって電源が落ちるまで待ちます。BIOS状態なら、電源が落ちてもパソコンに影響がないため、安心でしょう。電源が落ちたら、バッテリーを取り外します。一度常温になるまで待ちましょう。バッテリーを取り外すのが困難なようでしたら、そのまま冷めるのを待っても構いません。

バッテリーが常温になったらサイド装着して、ACアダプタをつなぎます。電源を入れない状態のまま、充電が100%になるまで待機します。おおよそ、3~4時間程度かかるのが一般的です。

充電が100%になったら、通常通りの起動をおこなってバッテリーリフレッシュは完了です。これによって、バッテリーの状況がいくらか改善されるケースもあるので、試してみる価値はあるでしょう。

4.ノートパソコンのバッテリーを交換する

ノートパソコンのバッテリーの減りが激早くて以上の方法を試しても、長持ちさせなくなったら、バッテリーの交換をしなければなりません。ここで、バッテリーの交換に関することをまとめて紹介していきます。

4-1.ノートパソコンのバッテリーの交換種類

ノートパソコンのバッテリーを交換する際、2種類の方法があります。1つ目は自身でバッテリーを購入して交換することです。その時、バッテリーをノートパソコンのディスプレイの付け根の裏側から取り出して、新しいものを実装していいです。もう1つ目はメーカー直営の修理工場やバッテリー交換サービスを活用してパソコン本体をメーカーへ送ってください。この方法はノートパソコンのバッテリーを取り出して交換できないタイプに適用しております。

4-2.ノートパソコンのバッテリー交換前の準備

バッテリーの交換をする前に、必要な準備ができたら、順調に交換できます。ここで、このようなことを説明していきます。

  • ノートパソコンのバッテリーのセル交換は控えてください。

  • ノートパソコン本体をメーカーに送る前に、必ずバックアップをしておいてください。

  • できるだけ純正品のバッテリーを交換してください。

  • 予算とパソコン本体の使用年数を考え、買い替えも検討してください。

  • メーカーまたは家電量販店へ送ってバッテリー交換前、パソコンの中にある個人情報をお注意ください。

環境にやさしい使用がノートパソコンのバッテリーの寿命を延ばす

バッテリーは消耗品で、いつか寿命がくるものです。しかし、バッテリーの特徴を知って、できるだけ負担の少ない使い方をすることにより寿命を延ばすことができるでしょう。それだけでなく、健全なバッテリーを保つことは安全にもつながりますし、省エネ効果も期待できます。日々のノートパソコンの使い方に気をつけることで、地球もバッテリーも長持ちさせたいものです。