Windows 10には、「高速スタートアップ」という機能が搭載されています。この機能は、PCの起動時間を短縮するために、シャットダウン時にカーネルやドライバ情報を保存し、次回の起動時にそれを再利用する仕組みです。高速スタートアップはデフォルトで有効になっていますが、場合によっては無効にしたほうが良いこともあります。以下では、その方法について説明します。
高速スタートアップとは
「高速スタートアップ」とは、パソコンの起動を速くするため、シャットダウン時にメモリやCPUなどの状態を保存しておく機能です。
パソコンを再起動するときに、すべての機能を1から読み込まずに保存済みであるシステムの状態をメモリーにロードすることで、起動時間を短縮することができます。
高速スタートアップはWindows 10以降で利用可能な機能で、Windows 11でもそのまま利用できます。
「高速スタートアップ」はデフォルトで有効化されていますが、必要に応じて無効にすることで、システムを完全にシャットダウンすることもできます。
高速スタートアップのメリット
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起動時間の短縮:
高速スタートアップの最大のメリットは、PCの起動時間が短縮されることです。シャットダウン時にカーネルやドライバ情報が保存され、次回の起動時にゼロからロードするのではなく、保存された情報を再利用します。これにより、通常のシャットダウンよりも速く起動できます。
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利便性の向上:
高速スタートアップは特にハードディスクを使用しているPCで有効です。SSDではもともと起動が速いため、効果は薄いことがありますが、HDDの場合は明確な効果を感じることができるでしょう。
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エネルギー効率:
シャットダウンのプロセスで必要なデータだけを保存するため、完全に電源を落とすよりも、素早く作業を再開できる形でPCがスタンバイします。
高速スタートアップのデメリット
高速スタートアップは、Windowsの起動時間を短縮するための便利な機能ですが、いくつかのデメリットがあります。
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BIOS/UEFIへのアクセスが難しくなる
高速スタートアップが有効だと、PCの起動時にBIOSやUEFI設定にアクセスするタイミングが極めて短くなります。これにより、設定変更を行いたい場合、タイミングを逃してしまい、起動をやり直す必要が出てくることがあります。
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システムの完全シャットダウンがされない
高速スタートアップが有効だと、実際には完全なシャットダウンを行わない。このため、ドライバやシステムの問題が継続され、再起動によってのみ解決される場合があります。特にノートPCではバッテリー寿命を短くする要因となる可能性があります。
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Windowsアップデートが正常に行われない場合がある
また、Windows Updateの適用にも影響を与えることがあります。更新プログラムが正しく適用されない場合があり、セキュリティリスクやシステムの不安定さを招く可能性があります。
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ドライバやデバイスの互換性問題
一部のハードウェアデバイスやドライバは、高速スタートアップと相性が悪い場合があります。たとえば、外部USBデバイスが正しく認識されなかったり、接続が途切れる問題が報告されています。
電力消費の微増
高速スタートアップは完全に電源を切るわけではないため、わずかに電力を消費し続ける状態になります。バッテリー駆動のデバイスでは、バッテリーの減少が気になる場合があります。
これらのデメリットから、多くのユーザーは高速スタートアップを無効にすることを選択しています。特にトラブルシューティングやシステムの安定性を重視する場合には、高速スタートアップを無効化することが推奨されます。
高速スタートアップを有効にする手順
Windows10で高速スタートアップが無効になっている場合は、以下の手順で有効にすることができます。
ステップ1 [コントロールパネル] を起動する
①検索フォームに「コントロールパネル」と入力し
②「コントロールパネル」を起動しましょう。
ステップ2 [ハードウェアとサウンド] をクリックする
ステップ3 表示されるメニューから「電源オプション」にある「電源ボタンの動作の変更」をクリックします。
ステップ4 すると、電源オプションのシステム設定が表示されます。「現在利用可能でない設定を変更します」をクリックしましょう。
ステップ5 高速スタートアップを設定する
「シャットダウン設定」の中にある「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックボックスにチェックを入れます。
ステップ6 変更を保存
最後に「変更の保存」ボタンをクリックして設定を完了させます。
高速スタートアップを無効にする手順
Windows10の高速スタートアップ機能は、以下のいずれかの方法で無効化することができます。
方法1:コントロールパネルから無効にする
デフォルトでは高速スタートアップが有効になっているので(チェックが入っている)、無効にする場合はチェックをはずしましょう。
PCをシャットダウンしてから起動すると、高速スタートアップが無効になった状態で起動(通常起動)します。
方法2: コマンドラインで無効にする
Windows PowerShell(ターミナル)やコマンドプロンプトを使用して、Windowsのハイバーネーション機能を無効にすることで高速スタートアップ機能を無効にすることもできます。
Windows PowerShell(ターミナル)で高速スタートアップ機能を無効にするには、以下の手順で操作してください。
ステップ1 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択します。
ステップ2 以下のコマンドを入力してEnterキーで実行します。
powercfg /h off
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補足: 設定を元に戻したい場合は、以下のコマンドを入力します。
powercfg /h on
コマンドを実行して設定を変更できたら、PCをシャットダウンしてから起動すると高速スタートアップが無効になります。
方法3: グループポリシーで無効にする
Windows10/11のProエディションがインストールされている場合は、グループポリシーエディタから高速スタートアップの使用を無効にすることができます。具体的な手順は、以下の通りです。
ステップ1 「Windowsマーク」を右クリックして「ファイル名を指定して実行」を選択します。ステップ2 名前に「gpedit.msc」と入力して「OK」をクリックします。
ステップ3 グループポリシーエディタが起動したら、左ペインのツリーを以下の順に展開します。
コンピュータの構成→管理用テンプレート→システム→シャットダウン
ステップ4 「シャットダウン」を選択した状態で、右ペインの「高速スタートアップの使用を要求する」をダブルクリックします。
ステップ5 「無効」を選択して「適用」をクリックしてから「OK」をクリックします。
グループポリシーの設定を変更できたら、PCをシャットダウンしてから起動すると高速スタートアップが無効になります。